コラム詳細

青い空白い雲
loading...

安倍首相に読ませたい"傲慢"今井秘書官のオフレコメモ

2017年11月26日号

牧太郎の青い空白い雲 645

「安倍首相に読ませたい」シリーズ第4弾は、経産省出身の大物秘書官の「オフレコメモ」である。
〈この間、総理が「最近今井さんが僕に厳しい」と漏らしたと聞いたから、僕は机を叩いて「国民のために総理をお支えすることに命をかけている。総理がそんな姿勢なんだったら今すぐ秘書官を辞めてやる」と言ったんだ。そしたら、安倍総理が謝ってきた〉
 この「今井」という人物は実在する。今井尚哉(たかや)・首相首席秘書官。8月16日、官邸詰め記者とのオフレコ懇談の記録だ。今井さんは安倍さんの側近中の側近。影のように従い、時には安倍さんの密命を帯びて外国を極秘訪問する人物である。
 文字通り一心同体!と言っていいのだろう。それにしても、首相に面と向かって啖呵(たんか)を切るなんて......。カッコいいじゃないか。
    ×  ×  ×
 オフレコ懇談とは「話した内容」を記事にしない約束で、有名人、政治家、政府高官がメディアの取材に応じるスタイル。だから、公にならない。ところが、永田町では「取扱厳重注意」の内容が、なぜか瞬時に知れ渡る。知れ渡るのを前提に「ここだけの話だが」と話すケースが結構多い。
 だから、有権者(国民)だけが知らない!という「知る権利の侵害」状態が生まれる。
 この「今井さんのオフレコメモ」も知れ渡り、(ごく一部の)週刊誌や情報誌で報道された。事実上「歴史的文書」になったと判断して、ここに紹介しようと思った次第である。
 もしかして、安倍さんもすでに読んだかもしれないが。「謝った」と言われて、安倍さん、黙っているのか?と知り合いの官僚に聞くと、「今井は陰の首相だから」と言われた。
 陰の首相? 陰の最高権力者? 1年ぐらい前に話題になった「黒い人脈」を駆使して大統領府を操り、私腹を肥やした......あの韓国の朴槿恵(パク・クネ)前大統領と親友・崔順実(チェ・スンシル)の"哀(かな)しい物語"を思い出した。
    ×  ×  ×
 今井さんはどんな人物なのか?
 今井さんは経産省では主として産業政策・エネルギー畑を歩んだ高級官僚だ。福島第1原子力発電所の事故以後、関西電力大飯(おおい)発電所再稼働に道筋をつけるなど、原発再稼働に尽力した人物である。
 第1次安倍内閣の下で、内閣官房に出向し事務担当の首相秘書官を務め、その後、経産省の大臣官房総務課長や貿易経済協力局審議官を経て資源エネルギー庁で次長に就任。安倍さんに請われ、第2次安倍内閣の発足とともに政務担当の首相秘書官に就任した。「1億総活躍社会」というスローガンを発案したのも今井さんである。
「育ち」が良い。元経団連会長・今井敬(たかし)氏と元通産事務次官・今井善衛(ぜんえい)氏を叔父に持つ。もちろん東大卒である。
 その彼が大活躍したのが伊勢志摩サミット。「リーマン・ショック前夜に近い経済状況」と議長国の安倍さんは演説したが、この時、各国首脳に配られた「危機的経済状態分析チャート」を作成したのが今井さん。「都合のいいデータを抜き出して作成された文書」という悪評も多かったようだが、「増税先送り」という政策変更の根拠を「リーマン・ショック前夜」という言葉で印象づける作戦はお見事。
    ×  ×  ×
 そんな大物だから何を言っても良いのだろうか?
「首相が謝った」と明かすのは、いささか傲慢ではないか?  もちろん「ここだけの話」が流れるのを意識した発言だろう。驕(おご)ってはいないか?
 事実、この大物秘書官の存在で「経産省」は財務省、外務省より"偉そうな存在"になっている。
 最近、安倍さんは盛んに「謙虚」「謙虚」と言う。閣僚たちも「謙虚」と言う。しかし、本当だろうか? 安倍さん周辺には一段と傲慢になりつつある輩(やから)がウジャウジャしている。権力の周辺は必ず腐敗する。
 安倍さん! 傲慢な「今井オフレコメモ」を読みなさい。そう言えば、このオフレコメモには〈このまま行けば、安倍政権は来年の9月で終わりだと思う。次は石破が90%、岸田が10%だろう〉という発言もあるのだから。

 

政治・社会

くらし・健康

国際

スポーツ・芸能

対談

  • 艶もたけなわ

    倍賞千恵子 女優・歌手

    2017年11月26日号

    阿木燿子の艶もたけなわ 179   映画「男はつらいよ」シリーズで、車寅次郎の妹・さ...

コラム