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 竹槍的Jアラートだけで「外交努力」をしない安倍政権

2017年9月17日号

 ありていに言えば、8月29日、日本国は「Jアラートごっこ」に明け暮れた。
 午前5時58分ごろ、北朝鮮から弾道ミサイル1発が発射されると、数分後に「Jアラート」(全国瞬時警報システム)なるものが、「避難してください!」と呼びかける。テレビ局はBSまですべて緊急画面。今にもミサイルが落ちてくるような雰囲気である。
 困った。
 どこに避難すればいいのか? 防空壕(ごう)があるわけじゃなし?
 そうこうするうち、北のミサイルは北海道・襟裳岬の東約1180キロの太平洋上に落下。すると、安倍さんは「発射直後から北朝鮮ミサイルの動きは完全に把握していた」と胸を張る。
 だからといって、どうしたというんだ!
    ×  ×  ×
 国民に緊急の危機が迫っていることを知らせる警報システム、Jアラート。これまで、北朝鮮がミサイルを発射するたび「鳴らないJアラート」と批判されていた。
 それで、「やってみるか!」ということか......。正直言って、びっくりはしたが、「衝撃」とはほど遠い。何しろ、この時期の「北のミサイル」は想定内だったからだ。
 あの堀江貴文さんがツイッター上で、「マジでこんなんで起こすなクソ。こんなんで一々出すシステムを入れるクソ政府」とつぶやいたのも理解できる。大体、安全に避難するなんて不可能なのに......。堀江さんの「こんなんで起こすなクソ」のツイッターは、なぜか炎上した。
 戦時中、竹槍(たけやり)でB29を落とす訓練を「そんなの無意味だ」と(『毎日新聞』が)言ったら「お前は何を言うか! 非国民だ!」と、めちゃくちゃ叩(たた)かれた。あれと同じだ。
    ×  ×  ×
 安倍さんは北朝鮮を「平和的解決に向けた努力を踏みにじるもの」と激怒した。トランプ大統領と電話で2回も協議。いつもと同じように「日米の立場は完全に一致している。ただちに国連安全保障理事会の緊急会合を開き、北朝鮮にさらに圧力を強めていくことで一致した」と話す。
 でも、日本は本当に「外交努力」をしているのか?
 ありていに言えば「中国任せ」である。中国が圧力をかければ「北の暴走」は治まるはず、と勘違いしている。
 そもそも北朝鮮は「中朝友好協力相互援助条約」を信じていない。もし信じていれば、北朝鮮は中国の「核の傘」に守られる道を選ぶ。信じていないから、中国を怒らせても核開発を続けるのだ。「中朝軍事同盟」なんて、絵に描いた餅なのだ。
 だから、中国の圧力には限界がある。
 軍事同盟というものは、結んだ瞬間から強い国は「小国の紛争に巻き込まれないように」用心し、小国は「見放されないように」用心する。それは「軍事同盟の宿命」なのだ。
    ×  ×  ×
「日米同盟」だって同じ。
 だから、日本は同盟国アメリカと「適当な距離感」を持ちながら、「北朝鮮」ともパイプを持ち続けなければならない。これが本当の「外交努力」というものだ。
 パイプはあるのか?
 最近、「2002年9月の日朝首脳会談を事前準備したルートを利用して、安倍さんが訪朝すればいい」なんて話を聞かされた。そういえば、あの時「ミスターX」という人物がいた。 外務省の田中均アジア大洋州局長(当時)と何度も接触し、当時の金正日(キム・ジョンイル)総書記に直結していた人物である(ミスターXは北朝鮮国家安全保衛部の柳敬(リュ・ギョン)副部長ではないかとの見方が有力だが、彼はすでに失脚している)。
 ともかく、そんな大昔の人脈が話題になるほど、北朝鮮のルートは途絶えている。
 安倍政権は本当に「外交努力」をしているのだろうか?

 

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