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人生の四季
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「日本は儒教国家ではないのか」

2017年7月30日号

一条真也の「人生の四季」89

 ベストセラー『儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇』ケント・ギルバート著(講談社+α新書)を読んだ。一読して、この本のメインテーマは「儒教」のようでいて、じつは「反中」「反韓」だと感じた。
 著者は「中国や韓国と上手に付き合うには、まず『自己中心主義』の大本たる儒教の本質を知り、そして日本は儒教国家でないことを認識すべし!」と繰り返し訴えている。
 本書のタイトルだけを知っている人から、「儒教って、本当は危険な教えなのですね」とか「儒教のせいで、中国と韓国はあんな国になったみたいですね」などと言われた。
 最初は「トンデモ本かな?」とも思ったが、そうでないことはわかった。でも、忘れてならないのは、モルモン教徒である著者には、儒教にも孔子にも何の思い入れもないということ。この本の正体は、「キリスト教に支配されたアメリカ人が中国人と韓国人を嫌いになった悲喜劇」と言えるかもしれない。
 その要旨は、日本人が儒教の核心だと考えている「仁義礼智信」、つまり「徳」が、中国や韓国の儒教からはすっぽり抜け落ちているということだ。日本では、孔子の真のメッセージが「武士道」という名前で残っているということに異論はないが、それなら書名は『東アジアにおける儒教の影響』などとすべきだった。
 まあ、そんなタイトルでは売れないから、『儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇』としたのだろうが、これでは儒教そのものが誤解される。
 日本において、最も儒教の精神が根付いたことは事実だろうが、もともと、日本では神道、仏教、儒教がバランス良く共生してきたといえる。
 とはいえ、現代の日本人に孔子の教えが生きているかというと、それには疑問を感じる。儒教は何よりも葬礼を重んじるが、日本では、家族葬や直葬など、葬儀の簡略化が進む一方である。この点では、葬礼を重んじる中国や韓国のほうに孔子の思想は生きていると言えないだろうか。

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