コラム詳細

青い空白い雲
loading...

「民」は卑劣な「安倍のどっちもどっち作戦」に気付いた!

2017年6月25日号

牧太郎の青い空白い雲 624

「どっちもどっち」という言葉は、「どちらも同程度である」という意味だ。同時に、「どちらもあまり評価できたものではない」との否定的な判断が含まれている。
「そば、うどん、どちらが好き?」と聞かれ「どっちもどっちだ」と答えると、「両方とも好きではない」という意味になるだろう。
「五十歩百歩」とほぼ同じ? さらに進んで「どっちもどっち」には「沈静化」という役割も隠されている。ヒートアップした「言い争い」に、第三者(傍観者)が割って入って「一旦落ち着け!」という合図に「どっちもどっち」を使う。
 さらにもう一つ、論争で不利になったほうが、焦点のテーマを有耶無耶(うやむや)にするときに使う。「どっちもどっち」はちょっぴり"卑劣なにおい"を感じさせる。
    ×  ×  ×
 安倍さんは、ここへ来て「俺は正しい」路線から、「どっちもどっち」路線に方向転換した。
 例の「前川の乱」である。安倍内閣が推し進めた「学校法人・加計(かけ)学園の国家戦略特区の獣医学部新設」について、前川喜平・前文科事務次官が「行政が歪(ゆが)められた」と告発した。
「そんなことはない」と反論すればいいのだが、安倍内閣は「歌舞伎町の出会い系バーに頻繁に出入りしていた」という『読売新聞』の記事をネタに個人攻撃を続ける。
 この記事は「(出会い系バーで)女性らは『割り切り』と称して、売春や援助交際を男性客に持ちかけることが多い」と指摘。具体的な「犯罪的行為」には触れていないが、「前川は怪しい!」というのだ。
 官房長官は「前次官の言い分」に対して相変わらず、「(学部新設を)『総理のご意向』とした文書は怪文書」「確認できない」などと言い続ける。そして〈売買春の可能性がある風俗産業→そこに頻繁にやって来る官僚→そんな人物の言い分を信じてはならない〉の三段論法である。
 これまでなら政権がぶっ飛ぶような大失敗だが、安倍政権の周辺は「総理のご意向」を半ば認めて「そうはいっても、前川にもスキャンダルがありますよね」と。
 問題の「疑惑」と関係ない情報を流すことで、国民に「どっちもどっち」の印象を与えようとする。
 当の安倍さんは「加計学園優遇に積極的だったのは民主党(現民進党)政権」ととれるようなことを言い始めた。これまで「特区は安倍内閣のお手柄!」と言っていたのに。ここでも「どっちもどっち」作戦で逃げ切ろうとしている。
    ×  ×  ×
「どっちもどっち」作戦は、別名「相打ち」作戦である。どちらが勝ったか? それが分からないようにする。
 加計疑惑は、自民党政権も民主党政権も同じ穴のムジナ。「相打ち」を印象づける。そうなれば官僚、メディアを味方にしている現政権が勝つ!
 安倍政権が進める安保関連法案は、いつも世論調査で国民の半分以上が反対しているが、なぜか「安倍内閣支持率」は50%前後を維持している。
 その秘密の一つが「どっちもどっち(=相打ち)作戦」なのだ。
 だから、森友でも、加計でも、安倍政権はビクともしない。
    ×  ×  ×
 ところが、オヤッということが起こった。
 6月1日に発表された日経新聞電子版「クイックVote」の世論調査の結果である。内閣支持率は前回調査の52・1%から25・4ポイントもダウンして26・7%。まさに急落である。
 今まで安倍政権が経験しなかった数字である。新聞、テレビの世論調査は、突然かかってくる電話に答える"受動的"なものだが、「クイックVote」は違う。自らの積極的な意思で投票する。投票者の多くは都市部に住むビジネスマン。首都圏の有権者が安倍政権に「ノー」を突きつけたのだ。
「クイックVote」の支持率が極端に落ちたのは「ニュースに敏感な層」が、やっと安倍政権の「どっちもどっち」作戦に気付いた証拠ではあるまいか。
「消極的な安倍支持者」が今度こそ離れていく。
 気付くのが遅すぎる!と言いたいが......都議選の行方がおかしくなった。安倍さんの「自民党と小池新党。どっちもどっち」作戦で自民党は都民の支持を得られるか?
 安倍さん、ピンチである。

 

政治・社会

くらし・健康

国際

スポーツ・芸能

対談

  • 艶もたけなわ

    黒田福美 女優・エッセイスト

    2017年11月19日号

    阿木燿子の艶もたけなわ 178   芸能界きっての韓国通として知られる女優の黒田福美...

コラム