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青い空白い雲
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 「維新」は"安倍派"? ならば公明党よ、共謀罪を潰せ!

2017年6月 4日号

牧太郎の青い空白い雲 621 

 別に驚くには当たらない。例の広島県警広島中央署で、金庫に保管していた現金8572万円が盗まれた事件。金庫の置かれていた1階の会計課は、玄関から離れた通路の奥。課員が不在の夜間や休日は施錠され、一般の出入りが難しい。多分、内部犯行だろう。
 だとしても、別に驚くことはない。警察官の犯罪はしょっちゅうだ。
 ここ数年でも、大阪府警阿倍野署の巡査長だった男が、妻の存在を隠して交際していた女性を殺害した。埼玉県警浦和署の巡査部長がカネ目当ての殺人事件を起こし、兵庫県警灘署の警部補が家宅捜索で訪れた住宅で、女性のわいせつ写真を盗むなどして逮捕された。佐賀県警の巡査長が、家宅捜索中の病院内で現金を盗んだ。
 挙げたらキリがない。警察官も人の子だ。罪を犯すのは、普通の人間と同じだ。「警察官だから」と信ずるには無理がある。
    ×  ×  ×
 その警察官を特別扱いしようとしているのが、例の「共謀罪」である。"共謀"の対象になる犯罪が、277とか316とか、とにかくメチャクチャ多いのに「警察官の犯罪」は意図的に外されている。「特別公務員職権乱用罪」「特別公務員暴行陵虐罪」......きわめて重い犯罪なのに除外されている。
 なぜだろう?
 もちろん"政治家絡み"も特別扱い。「公職選挙法」「政治資金規正法」「政党助成法」はすべて除外されている。共謀して、選挙違反をする政治家、ヤミ献金で大儲(おおもう)けの政治家はごまんといるのに。
 公権力を私物化するような輩(やから)を特別扱いする「共謀罪」。この法律はインチキである。 
    ×  ×  ×
 別に驚くことはない。「日本維新の会」(以下、維新)が共謀罪の修正協議で自民党と合意した件である。付則に「取り調べの可視化(録音・録画)」「GPS捜査の制度化」を盛り込む。そうすれば、賛成に回るという。
 安倍さんは「野党の維新も賛成なんだから、数の力でゴリ押ししたわけじゃない」と言い張るつもりだろう。インチキ合意だが、驚くには当たらない。はっきり言えば、維新は元々「安倍与党」。2025年の大阪万博やカジノを中心とする統合型リゾート(IR)を大阪に誘致するため、政権に恩を売っておこうという魂胆であるまいか。
    ×  ×  ×
 その共謀罪に関して「驚くに値する珍事」が起こっている。
 いくら「与党」だと言っても、公明党がこの「暗黒法案」に賛成するなんて......思いもしなかった。
 公明党の支持母体である創価学会の始祖は治安維持法で逮捕され、獄死している。初代会長・牧口常三郎氏は1871(明治4)年、新潟生まれ。北海道尋常師範学校を卒業後、約20年間、東京・白金尋常小学校など6校の校長を歴任。「子どもの幸福」を目的とする慈愛の教育に徹した。元々は教育者だったのだ。1928年、牧口は日蓮大聖人の仏法を知り、30年11月18日に「創価教育学会」(創価学会の前身)を創立。教育改革、仏法に基づく生活革新運動を展開した。
 戦時下である。宗教・思想の統制を図る軍部の手で43年に治安維持法違反と不敬罪容疑で検挙・投獄され、44年11月18日、獄中で亡くなった。
 公明党の支持母体、創価学会が身を呈(てい)して守ることは「宗教・思想の自由」ではないのか。
共謀罪は「平成版・治安維持法」だ。「テロ防止」という美名の下、市民の自由を奪う「暗黒法案」である。落語家の立川談四楼がつぶやいた。
「公明党は治安維持法に懲りてないのか」
 公明党よ! 安倍内閣は改憲に向け維新と協力するだろう。このままでは、公明党の存在意義はなくなる。
 断っておくが、公明党が突如、共謀罪に反対しても誰も驚かない。

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