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青い空白い雲
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「谷査恵子の責任」にする"ポスト真実"の男たち

2017年4月16日号

牧太郎の青い空白い雲 615 

 卑怯(ひきょう)者である。誰も彼も卑怯者ではないか。
 安倍極右政権vs.インチキ愛国心の「モリトモ騒動」。相変わらずの"嘘(うそ)つき合戦"を続けるのは勝手だが、安倍首相よ! 恥ずかしい!とは思わないのか?
「民間人の参考人招致は慎重に」 などと言っていたクセに、籠池泰典理事長が「首相から100万円の寄付をもらった」と明かした途端、参考人招致をすっ飛ばし「首相を侮辱した」という理由で証人喚問。自民党議員は偽証罪、詐欺罪をチラつかせて脅す。
 恥ずかしいとは思わないのか!
 しかもワル理事長のほうが役者が一枚上。ともかくベラベラ喋(しゃべ)る。終わってみると「官邸が嘘を言うわけないから、籠池のほうが?だ」なんて、めちゃくちゃなことを言い出す始末。「口封じ」するには籠池逮捕しかない。そんな気分だろう。もしかすると、嘘つき政権が「嘘つき教育者」をお縄にする。ちょっと前まで極右の仲間だったのに。
 今日もモリトモ、明日もモリトモ......世界が「嘘つき合戦」を嘲笑(あざわら)っている。
    ×  ×  ×
「ポスト真実」という言葉をご存じだろうか?
 昨年冬、オックスフォード英語辞書が「2016年世界の今年の言葉」として「post-truth(ポスト真実)」を選んだ。「post-」という修飾語は「後の」「次の」という意味。「脱」と訳されることもある。「post-」の後にくる言葉は「過去のもの」。転じて「post-」は「重要ではないもの」。つまり「post-truth」という言葉は「脱真実」。「客観的な事実が重視されない」という意味だ。
「嘘」が大手を振って通用する。「これが私の真実」と胸を張り、嘘をつきまくる。そんな嘘つきの存在をオックスフォード英語辞書が「post-truth」と命名した。
    ×  ×  ×
 昨年11月の米大統領選。まさに「ポスト真実」の展開だった。
 トランプ大統領の支持者向けの偽ニュースサイトが乱立した。「クリントン氏がイスラム国(IS)に武器売却」「オバマ氏がクリントン氏不支持」というデマが何度も流された。
 BuzzFeedニュースの調査では、大統領選の最後の3カ月間での選挙記事は、Facebook上では偽ニュースのほうが主要メディアのニュースよりも歓迎された。
 嘘が歓迎された! というより、正確に言えば、アメリカ人の多くが「ファクトチェック」(裏取り)を忘れた。いや、できない。ちょっと考えれば、真っ赤な嘘と気づくのに......人々は「嘘」を信じてしまう。
 はっきり言えば、アメリカ人が「アホ」になった。だからトランプ大統領は就任後も、相変わらず「これが私の真実」と言い張って、一定の支持を得ている。「ポスト真実」の国の行方は恐ろしい。
    ×  ×  ×
 日本は「恥」を知る民族である。「嘘つき」は大嫌いだ。だから「悪徳政治家」でも、誰もが「嘘」と気づく「嘘」はつかない。
 ところが、安倍さんは違う。誰もが「嘘」と気づく「嘘」をつく。「トランプ流」である。インチキ愛国教育者の籠池さんに負けじと「嘘」をつく。
 証人喚問で飛び出した新疑惑。決定打となっているのが、国有地に関して「内閣総理大臣夫人付」の谷査恵子さんが、2015年11月に森友側に送付したファクスである。
〈財務省本省に問い合わせた〉〈予算措置を行う方向で調整中〉〈昭恵夫人にもすでに報告している〉との文言がある。これは、昭恵氏の「動き」を証明する。
 しかし、政府は「谷氏が勝手にやったこと」と言い張る。安倍さんはシレッとした様子で「私の妻が関与したことにはまったくならない。むしろゼロ回答であり、忖度(そんたく)していないことが明らか」なんて詭弁(きべん)を弄(ろう)する。
 このファクスは谷さん一人で対応したものではない。彼女一人で書けるわけがない。彼女の立場を考えれば、誰かがサポートしなければ、この文章は書けない。
 谷さんの相談(と、いうことは「首相夫人の相談」)に応えて、この文章を作った人物が存在する。ゼロ回答と見せかけて、「行く行く便宜を図る!」とも読めるメッセージが隠されている。
 この文章を作った「下手人」が存在する。それは、「谷氏が勝手にやったこと。それが真実」と言い張る高級官僚、と見て間違いない。
 日本ではこの嘘つき野郎を「ポスト真実」とは言わない。すべてを「立場の弱い女性の責任」にすることを、我が「美しい国・日本」では「卑怯者」と呼ぶんだ。

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