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青い空白い雲
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世界で囁かれる「金融危機太陽黒点説」は本当なの?

2017年3月 5日号

牧太郎の青い空白い雲 609 

 「太陽黒点」をご存じだろうか? 
 太陽の表面をジッと観測すると「黒い点」のように見える部分がある。「真っ黒」ではない。この部分も光を放っているのだが、なぜか、周囲よりも弱い光なので黒く見えるだけである。
 古代中国。この黒い点を見て人々は「太陽にはカラスがいる」と信じていた。「太陽に住むカラス」の伝説は日本に伝えられ「八咫烏(やたがらす)」と呼ばれた。日本の神話では神武天皇を大和の橿原まで案内したこの烏は、"導きの神"として信仰されている。ちなみに太陽の化身とされる「八咫烏」は三本足だ。
 このどこか不気味な「太陽黒点」は約9・5年から12年ほどの周期で「増えたり」「減ったり」を繰り返す。そこで、現代でも通用する(必ずしも有力ではないが)「学説」が登場した。 経済学者の中に「太陽黒点周期と景気の循環の関連」を主張する人がいるのだ。
 イギリスの経済学者、論理学者のウィリアム・スタンレー・ジェヴォンズ(1835~82)は、「太陽黒点面積の増減は10年から11年ほどの周期があり、穀物価格の騰貴、下落にもほぼ同様の周期があり、恐慌の発生にもまた同様の周期がある」と主張した。
 太陽黒点のように、経済恐慌が周期的にやって来るのか?
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 太陽黒点説ときわめて似通っている「金融危機10年周期説」なるものも存在する。これは、1980年以降「末尾に7がつく年」に金融危機が起きている!というのだ。
 87年10月19日、ブラックマンデー(暗黒の月曜日)が起こった。ニューヨーク株式市場のダウ平均株価は前週末比508ドル下落した。97年にはアジア通貨危機が起きた。記憶に新しい2007年は、サブプライム危機に端を発し、翌年9月15日のリーマン・ショック(世界同時不況)。この時は「10年周期」どころか「100年に1度の危機」と騒がれた。もし「金融危機10年周期説」が本当なら、17年の今年は、4度目の金融危機が起こる計算だ。
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 リスクは幾つもある。まずは、アメリカ、ヨーロッパの保護貿易主義。グローバル化の反動として、右傾化が進む。今年、各国で国政選挙が行われるが、最大の争点はシリアをはじめとする難民問題。この難問で、下手をすると統一通貨ユーロが崩壊するかもしれない。
 もちろん、中国リスクは相変わらずだ。中国の実体経済は人民元や株価と比べれば、それほど成長していない。バブル崩壊直前!と見る向きもある。
 トランプ新大統領は、もっと不安だ。確かに「減税」「インフラ投資」「規制緩和」で株価の高騰を生んでいるが、果たして株高が長続きするのか? 不透明だ。
 素人でも、今後の過剰景気刺激策が物価上昇を招き、スタグフレーション(不況下のインフレ)が起きることを予想する。
 世界中、金融危機が起こってもおかしくないのだ。
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 2月10日のトランプ・安倍首脳会談。ゴルフをして、何度も食事を一緒にして、安倍さんはひとまずホッとしているのだろう。
 ハッキリ言って、トランプ氏の要求は「第一に辺野古、第二に辺野古」だった。
 要するに、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の全面返還には名護市辺野古への移設が「唯一の解決策」だと日米両政府が一致すればいいのだ。トランプ氏は会見で日本の米軍駐留受け入れに「感謝している」とわざわざ述べた。
 経済はゆっくり話そう!ということ。すべて先送り。それでも会談を好感した株価は上昇の気配?
 こんなホッとした時期に「太陽黒点説」や「金融危機10年周期説」を持ち出すのは、気がひけるが、善意の日本国民は「安倍・トランプの蜜月」という「ありもしない幻想」に酔っているような気がして......あえて警鐘を鳴らした。当方の勘違いなら、幸いだが。

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