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青い空白い雲
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五輪裏金疑惑をスクープした雑誌『FACTA』って何だ!

2016年6月 5日号

牧太郎の青い空白い雲 連載572

「2020年東京五輪招致に2億円以上の裏金が動いた」と新聞、テレビなどは、いま知ったかのごとくに報道している。<br>
 冗談ではない。「何を今さら」という気分である。
 この疑惑はスポーツ各界の有力者、メディアの一部、もちろん安倍内閣の面々も今年の2月ごろには知っていたはずだ。
「記者クラブ依存のマスメディアが報じることのない国家権力の内幕に迫る」が"売り"の総合情報誌『FACTA』3月号が、「東京五輪招致で電通『買収』疑惑」という記事を掲載していたのだ。
 この記事を書いたのは、英国紙『ガーディアン』のオーウェン・ギブソン記者。 日本が「億単位の大金」を支払った?真偽は分からない。だが、もし東京五輪が"カネで買われた"としたら......日本の恥だ。しかし、五輪関係者もメディアも(結果的には)『FACTA』の特ダネ?を無視した。
    ×  ×  ×
 約3カ月経(た)った5月11日、そのオーウェン・ギブソン記者は、『ガーディアン』でより具体的な疑惑をすっぱ抜いた。<br>
「2020年東京五輪の招致過程で、日本の招致委員会側から2億円以上もの大金がIOCの委員を務めたラミン・ディアク氏の息子が関係するシンガポールの口座に振り込まれていた」
 と、かなり断定的に書いた。世界を騒がせたロシア陸連によるドーピング問題で渦中のディアク氏は逮捕され、息子のパパマッサタ氏もインターポール(国際刑事警察機構)に指名手配されている。
 その二人の捜査で明るみに出た「日本絡みの裏金騒動」。『ガーディアン』の記事は全世界に発信され、さすがに日本のメディアも無視できなかった。
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 それにしてもなぜ、日本のメディアは「五輪裏金疑惑」に及び腰なのか。
 その理由は......『ガーディアン』が「大手広告代理店が絡んでいる」と報じたからではあるまいか?
 裏金疑惑を報じたメディアも、『ガーディアン』が掲載した「裏金相関図」から大手広告代理店の名前を消して伝えている。五輪をスポーツの祭典ではなく、金儲(もう)けのビッグチャンスと捉える広告代理店の暗躍? もしそれが事実で、日本のメディアが隠していたとすれば......日本には「報道の自由」がないに等しいではないか。
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 裏金疑惑を書いた『FACTA』3月号の記事では堂々とこの大手広告代理店が「電通」である!と指摘している。新聞、テレビ、雑誌が敵に回したくない「電通」にケンカを売っているのか?
『FACTA』という雑誌は何者なのか?
 ザハ・ハディド氏設計の新国立競技場案が白紙撤回された騒動でも同誌の存在が話題になった。 この雑誌の2014年9月号の「新国立競技場に森・石原『密約』」、10月号の「国立競技場解体に『天の声』」、11月号の「『戦犯』は日建・竹中・電通」の三つの記事が、「新国立」問題に火をつけている。
「電通の、電通による、電通のためのオリンピック」になることに警鐘を鳴らす、この雑誌を主宰する「阿部重夫」という人物は何者なのか?
 ブログによれば1948年、東京都生まれ。東京大文学部社会学科卒。日経新聞論説委員兼編集委員や「日経ベンチャー」編集長を経て退職。ケンブリッジ大客員研究員になり、帰国後、月刊誌『選択』編集長。2005年11月に「ファクタ出版株式会社」を創設、翌年春、予約購読制の『FACTA』を創刊した。
 どんな「商い」をしているのか?も分からないが、情報収集力は並大抵ではない。
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 東京五輪は、安倍首相が「汚染水はアンダーコントロール」とウソ八百をついたのがケチのつき始め。当時の猪瀬直樹都知事は「政治とカネ」で辞任。その後も、競技場の設計や建設費、エンブレムの盗作、設計計画で聖火台がなかったり......政府は裏金疑惑について、「政府として調査することはない」と言い切ったが、フランス当局が本気で捜査するとなれば、さすがに知らん顔もできないだろう。
「正当なコンサル料」で逃げようとするが......もし、その裏金の出どころが税金だったりしたら......大変なことになる。
『毎日新聞』夕刊(5月2日付=東京本社版)の「牧太郎の大きな声では言えないが...」のコラムで「オリンピックは必要か!」と問題提起したが、本当に五輪は開催できるのだろうか?

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