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テレビ探偵
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会見後に眺める不機嫌な香取ドラマ

2016年3月 6日号
 あの会見以来SMAPの番組を観ると、ふと彼らはいまどんな心境なのだろうか?と考えてしまう。これを書く直前のスマスマでは、冒頭のビストロのコーナーゲストに琴奨菊夫妻が出ていたが、件(くだん)の会見は1月18日、初場所千秋楽が24日だから、まだほとぼりも冷めやらぬ頃の収録と思われる。中居クンは例の調子で場を仕切っていたけれど、他の4人は無言で料理に取りくむシーンだから、ついつい各人の横顔に沈鬱な心理状況を重ねたくなる。
 ああいう一件があると、バラエティーの方はちょっとしんどいけれど、ドラマの方は逆に功を奏することもある。香取慎吾の「家族ノカタチ」、TBS日曜劇場にしては視聴率が低いというが、彼の演じる"人嫌いの独身主義者"は秀逸だ。前々から、好き嫌いの感情が割と顔や態度に出やすいタイプの人だと思っていたけれど、彼がスマステなんかで興味のないゲストを前にしたときに見せる冷ややかなムードが、この利己的な男の芝居にうまく反映されている。どうも香取の演じる善人ってのは好きになれなかったのだが、不機嫌な香取慎吾はいい。
 とはいえ、この香取がやる永里大介って男、もちろん最後まで利己主義なヤな奴(やつ)ってわけではなく、周囲の人間にかきまわされるうちに、段々と人情的な一面をのぞかせるようになってくる。その最たる人物が父親役の西田敏行。奔放な生活を送るこの父親は、香取がようやく手に入れたスタイリッシュなマンションの一室に子連れ(香取の知らない)で押しかけてきて、老人仲間とリビングで宴会をやったり、ベランダで燻製(くんせい)を作ったり、彼の城を無神経に散らかしていく。こういう茶目(ちめ)っ気のあるぶっこわし役として西田ほど最適な役者はいないだろう。
 そして、マンションの隣人に香取と似たような、利己的な単身生活を謳歌(おか)する上野樹里がいる。彼女の役柄は大手商社に勤務しつつ、日々愛用しているグッズやレストランのメニューについての評価をネットに書きちらすことをライフワークとしている三十路(みそじ)女。香取の勤める文具メーカーの商品にしばしばクレームを寄せることから、クレーマーハナコとあだ名されている。
 香取と上野、変人の2人が衝突を繰り返しながらも徐々に接近していくストーリーは、いわゆる正統的なスクリューボール・コメディーといってもいい。両者ともタッパ(身長)があるので、その辺もアメリカ喜劇っぽい。そして、彼らのオフィスの面々―千葉雄大や荒川良々、水原希子や柳原可奈子―のオシャレな軽さもニューヨークやシカゴが舞台のオフィスコメディーのセンスが漂う。
 ちなみに、こちらのドラマの舞台は伊藤忠のある晴海トリトンスクエア周辺のようだ。西田の連れ子が通う中学校、「中央区立月島中学」と校門が映し出されたので、へー、公立校がよく撮影許可を出したな......と思って地図をチェックしたら、あの辺に佃(つくだ)中と晴海中とあるのに月島中ってのは実在しないんだね。リアルな架空地の設定も凝っている。

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