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テレビ探偵
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ロドリゲスのCMって昔のナイキっぽい

2015年9月27日号

泉麻人のテレビ探偵 連載73

 前回書いた「世界陸上」のときに、もう一つ気になったCMがトヨタのシエンタって車のもの。番組の最後に室伏由佳が"本日の名シーン"を紹介するようなコーナーで、このCMのサワリが流れる仕掛けになっていた。サッカー選手のハメス・ロドリゲスと滝川クリステルをモデルに起用したCMは、タレントも大物だが、バックに流れるセルジオ・メンデスとブラジル'66の「マシュケナダ」の軽快なサウンドがかなり強い印象を与えている。
 が、コレを観るたびになんとなく思い出すCMがある。サッカーのブラジルチームの面々が空港で巧みにボールリフティングをしてあそぶナイキのCM。確か98年のW杯フランス大会の頃だったか、ロナウドやロナウジーニョ、カフーやデニウソン......の動きに合わせて、マシュケナダ(コレはセルメン版ではなかったと思う)が小気味よくバックに被(かぶ)さる、当時実にカッコイイCMだった。
 シエンタのCM、とくにロドリゲスがスーパーマーケットでサッカーを始める方のやつは似ている......と思うのだが、まぁこういうのはパクリではなく、インスパイア・クリエーティブの範疇(はんちゆう)だろう。ちなみにイエローカラーの車とユニホームから、一瞬ロドリゲスをブラジル選手とカン違いしそうになるが、彼はコロンビアの選手なのだ。
 オリンピック・エンブレムの一件ではないが、近頃の大手のCM(代表はスマホ)はなんだかたるんでる。auの昔話コントは幼稚だし、ソフトバンクのダジャレ(サンバイザーなど)はスベりっぱなしだし、ただ露出量にまかせて"自爆ネタ"で押しきっているような感じだ。なかで一番ましなのが"角野卓造とハリセンボン近藤春菜の親子"の起用を実現したドコモですかね......しかし、すると前のCMの高橋英樹と真麻の本物親子はコレの前フリってことだったのだろうか?
 ソフトバンクの白戸家はマンネリを確信した上で転がしているのだろうが、そろそろホワイト犬離れする時期かもしれないですね。
 大手のCMはパッとしないけれど、ローカルなCMには冴(さ)えたものがある。たとえば、インターネットを中心に話題になっている、宮崎県小林市の移住者を呼びこむPR動画。
 小林市というのは霧島高原に近い山間部。映像は単館モノの映画に出てくるような理知的なフランス人が自然豊かな山里を訪ね歩く、という展開。エリック・サティ調のBGMにフランス語による土地の案内が被さる。地方都市の観光CMとしては、これだけでもシャレているのだが、実はフランス語に聞こえていたナレーションは、土地に伝わる"西諸(にしもろ)弁"って方言......というオチが付く。
 アイデアはともかく、映像のクオリティーが高いので、うっかりだまされる。さすがに市の職員レベルで作れるものではないだろうと思ったら、九州電通の有能ディレクターの作らしい。その人物、電通本社から志願して九州へ移った、という書きこみが興味深かった。

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