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テレビ探偵
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「男子ごはん」の清々しいボーイズ感

2015年8月23日号

泉麻人のテレビ探偵 連載68

 日曜日のジムでウオーキングをやるとき、マシンに取り付けられた小型テレビで火野正平の自転車の番組を観ることが多い、なんて話を以前に書いた。だいたいお昼前の11時半頃の時間帯なのだが、このときザッピングをしていて、けっこう浮気する番組にテレ東の「男子ごはん」がある。国分太一と料理家の青年・栗原心平のコンビによるこの料理番組は、紹介されるメニューも2人のトークの掛け合いもさりげない自然体で心地よい。火野の自転車旅に飽きたわけではないけれど、こういう猛暑の時期はちょっと暑苦しいんだよね。
 先日の「男子ごはん」は1時間のスペシャル版(通常は30分)で、井ノ原快彦(イノッチ)がゲストで入っていた。僕が観始めた11時半頃は、初めの料理は終わって次のホットプレートを使った料理に取りかかろう、というところ。
 この番組、男子ごはんというくらいに、男連中がちょっと酒のつまみが欲しいというときなんかに、格好のネタがよく紹介される。場を仕切る心平シェフは、まずホットプレートの右側の方で、鮭やクレソン、鶏のささみを使ったホイル焼をこしらえ、左側の方で豚ひき肉を主体にしたミソ炒めを、そして、プレートの隙間(すきま)を埋めるように、脂のノッた豚バラ肉を手際良く配していく。
「わ、スキマ豚だね」
 国分が的確なコメントを付ける。
 湾岸あたりの水辺のオープンスタジオでロケされているようで、食卓にはビールやワインが置かれ、かなり開放的なムードで収録は進んでいる。とりわけ、イノッチは僕が観る前のコーナーから飲んでいたのか、けっこういい調子になっている。
「イノッチが思ってる以上に酔ってるよ」
 向こうの川を行く船に手を振る井ノ原に国分がツッコむ。リアルなバラエティーがハヤリの昨今、芸能人が本当に泥酔した姿を見せるような番組が増えたけれど、彼らの間の空気感にはそういう作為的なものが感じられない。酒食を交わす、清々(すがすが)しいボーイズ感が伝わってくる。ま、ジャニーズ内部にもいろいろ派閥があるのだろうが、この2人は〈タイノッチ〉なんて番組をやって、年少の頃から仲が良かったらしい。なるほど、付属校の同窓会みたいなムードはそういう関係に由来するのかもしれない。
 イノッチはホットプレートで「もんじゃ」風のつまみを作っていたが、彼が浅草出身と聞いて、なんとなく頷(うなず)けるものを感じた。
 ところで、料理人の心平ちゃんは、大ケガで降板したケンタロウに代わって入った2代目なのだ。国分にくっついてきた地元のダチ、みたいな素朴な感じがいい。どっから連れてきたのだろう......と思ったら、栗原はあの有名料理研究家・栗原はるみが母親ってことなのだ。さらに、その元は父親の栗原玲児。ワイドショーの元祖「木島則夫モーニングショー」でブレークしたアナウンサー。心平ちゃんもサラブレッドなんだねぇ。
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 ■人物略歴
 ◇いずみ・あさと
 1956年、東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、テレビ雑誌編集者を経て、フリーのコラムニストに。東京を中心にした街歩き、現代風俗などを中心に執筆。近著は『還暦シェアハウス』

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