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テレビ探偵
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「あまちゃん」と「まれ」をハシゴする

2015年5月 3日号

泉麻人のテレビ探偵 第53回

 前にも書いたが、僕はNHKの朝ドラを7時半からのBSで観ることが多い。その前の15分から過去の朝ドラをやっているのだが、4月から「あまちゃん」が始まった。本放送のときから、かなり気を入れて観ていた番組だったが、はじめの方の回はまだ視聴態勢もいいかげんだった。この機会に頭の方をおさらいしようと、また観始めたのだ。

 田園のなかを行くローカル鉄道(北リアス線)に大友良英の軽快なインストゥルメンタル曲が被さるタイトルバック、微妙になつかしい。放送がはじまったのはちょうど2年前。さらにその2年前に起こった東日本大震災の光景までが仄(ほの)かに回想されてくる。
「あまちゃん」はなんといっても宮藤官九郎の"冴(さ)えた小ネタ"が評判になったドラマだったが、改めて眺めてみると演出も編集もいちいちよくできている。たとえば、往年の海女の歴史を語る夏ばっぱ(宮本信子)のナレーションに「いつでも夢を」のイントロが小気味よく被さってくるようなところとか、しばらくユイ(橋本愛)を通学の車内でチョイ見せしていく演出とか、フフンと感心させられる場面は多い。
 そして、実際の三陸鉄道北リアス線の開通(1984年4月)に合わせて、少女時代の春子(有村架純)を上京させていくあたり、時代設定もしっかりしているのだ。駅長の大吉(杉本哲太)がカラオケで愛唱する「ゴーストバスターズ」(レイ・パーカー・ジュニア)も、84年のヒット映画なんだよね。ハズシた選曲のセンスがまた素晴らしい。
 と、再放送で観てもこの朝ドラの出来が群を抜いていたことがよくわかる。往年の朝ドラの話はこのくらいにして、7時半からの新番組「まれ」、「あまちゃん」から続けて観るとタイプが似ていることに気づく。
 東京育ちのヒロインが地方の風土にふれながら活躍するストーリー。三陸と能登、海べりののどかな土地の雰囲気も近い。そして、しっかり者の母親(常盤貴子)とダメオヤジ(大泉洋)という位置関係も小泉と尾美としのりの「あまちゃん」と重なる。
「まれ」のオヤジ・津村徹のダメっぷりはかなり度を超えたものだが、弱腰でC調な大泉のキャラによく合っている。前作の「マッサン」がベタな人情話だっただけに、こういう軽いコメディータッチの朝ドラはうれしい。
 ヒロインの土屋太鳳(たお)は、「花子とアン」の末妹役で顔見せしていたけれど、いかにもNHK好みの天真爛漫(らんまん)なタイプだ。僕はなんとなく和泉雅子(北極に行ったりするずっと前、日活青春女優の頃です)の姿を思い浮かべる。
 ところで、朝ドラというと本編のドラマ以上に連日流れるテーマ曲が耳に残る。今回は詞をヒロインの土屋自ら書いたというが、「マッサン」の中島みゆきのに比べると、割と難しい曲だよね。合唱コンクールの課題曲に選ばれるようなメロディー。僕はふと往年のNHK名番組「ステージ101」のコーラスシーンを思い出す。
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 ■人物略歴
 ◇いずみ・あさと
 1956年、東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、テレビ雑誌編集者を経て、フリーのコラムニストに。東京を中心にした街歩き、現代風俗などを中心に執筆。近著は『還暦シェアハウス』

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