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青い空白い雲
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白鵬イジメに中国並みの「外国人排斥」のにおいが......

2015年3月15日号

「お前はモンゴルの味方か?」という"お叱り"を頂いた。
2月の初め、『毎日新聞』の夕刊コラム「牧太郎の大きな声では言えないが...」で、昨今の"白鵬イジメ"に意見を述べた。
「大相撲は大好きだ。でも、史上最多の33回優勝の名横綱・白鵬は好きでも、嫌いでもない。まあ、日本人横綱が誕生すれば良い!と思っている『ごく普通のファン』だが......このところの『白鵬イジメ』が気になる。日本人は懐が深い『寛容の民族』のハズだが......」という"書出し"にした。
 白鵬贔屓(ひいき)ではない!とワザワザ断っているのに「外国人力士の味方なのか?」と文句を言う読者が複数、現れた。
 それほど「べら棒」なことを書いたつもりはないが......まずは、お叱りを受けた「問題のコラム」を読んでもらおう。
    ×  ×  ×
 問題は、初場所で全勝優勝した翌朝の白鵬の言動。で、新聞の指摘と、僕の(少数)意見を並べてみた。
 批判その1。寝坊して、会見が1時間以上遅れた。(政治家の記者会見中止なんて日常茶飯事。記者が1時間ぐらい我慢しろ!)
 その2。アルコールが残っていた。(朝方まで酒宴? 大記録達成の夜、豪快に飲み明かす。二日酔いを責めるなんて、男じゃないぞ)
 その3。白鵬が「疑惑の相撲が一つある」と勝負審判の判断にケチをつけた。初場所13日目、同体で取り直しとなった大関・稀勢の里戦。白鵬は「ビデオを見たら、子供が見ても分かる。なぜ、取り直しにしたのか」と不満を述べた。新聞は「品格がない」という。(確かに勝負は微妙。勝負審判は「勝負規定第6条には、足の裏以外の一部が早く砂についた者を負けとするとある。白鵬の右足の甲が土俵についている」と言うけれど「相撲の流れ」は白鵬の勝ち。いっそテニスのようにコンピューター分析で勝敗を決めろ!)
 その4。ギャラの出るテレビ番組で一連の騒動を陳謝したのはけしからん。(NHKじゃなきゃいけないの? メディア差別だ)
 その5。千秋楽の優勝インタビューでニヤニヤしなから「オレがいなくなったら相撲界は大変だよ」という顔をした。 (......)
 批判は自由だが、新聞が着目すべきは、白鵬が「本当は、肌の色は関係ないんだ。同じ土俵に上がってまげを結っていることになれば、日本の魂。みんな同じ人間です」と言ったことだ。この言葉には、モンゴル3横綱で支えているのに、まだ差別!という"恨み"が隠されている。
 品格、品格!と言うけれど、モンゴルと日本では価値観が違う。
 いまや、モンゴルの国技?と笑われる大相撲。白鵬のイメージダウンを狙う向きに申し上げる。
 だったら、土俵の上で、白鵬に勝ってみろ! 「品格」で相撲は勝てネエぞ!<br>
    ×  ×  ×
 このコラムは日本人力士への「激励」という意味もあった。同時に、まだ日本人に残る「よそ者嫌い」の癖を指摘したかった。
 知らぬ異国の国技で快挙を成し遂げた外国の若者。やんやの喝采を浴びてよいのに、「お行儀が悪い」「品格がない!」とイチャモンをつける......日本人として、情けないじゃないか。
 外国人嫌悪とでもいおうか、外国人恐怖症といおうか、外国人や異民族、アウトサイダーと見られている人や集団を嫌悪し、排斥しようとする。
 この恥ずかしい心理状況は、ギリシャ、ローマの昔から「xenophobia(クセノフォビア=外国人排斥)」と呼ばれていた。
 あらゆる国、あらゆる民族に存在するのだろう。
 だから、一部の読者が「お前はモンゴルの味方か?」と言い出すのも理解できるが......このくらいのことで、目を三角にするなんて......いささか、異常ではないか?流行(はや)りの「反韓ヘイトスピーチ」に似ている。
 憎悪表現、憎悪宣伝、差別的表現、差別的宣伝が行き過ぎると......反ユダヤ主義、ホロコーストなどに代表される大量虐殺まで引き起こす。
    ×  ×  ×
 今、世界の至る所で「外国人排斥」の動きが目立っている。
 日本人が、もっとも警戒しなければならないのは、中国だろう。ここ1年、中国当局から、スパイ扱いされる外国人は増える一方。外国人に情報を流した、と拘束された中国人が急増している。 
 中国は昨年11月1日に「反スパイ法」を成立させ、即日施行した。習近平指導部は共産主義の一党独裁体制を強化したいのだろう。極端な「外国人排斥運動」を展開する。
 人権尊重、民主主義といった国際社会の価値観を国内から一掃しようと、無理やり外国人をスパイに仕立て上げる。日本の外交官、ジャーナリスト、NGO関係者、商社マンが中国で活動すれば、すべて「敵対勢力」として拘束されるだろう。 
 恐ろしい。中国は鎖国になるつもり?
 お隣の暗黒国家を見れば、「外国人排斥」が如何(いか)に反人道的な仕打ちであるかが分かる。
 いくら、安倍さん率いる「右向け右!」の日本であっても、外国人を排斥するのはやめようではないか。

 ◆太郎の青空スポット・春は東京だけではない

 名古屋の「しだれ梅まつり」が始まった。紅梅・白梅計約700本。小動物ふれあい広場、大道芸、青空市、盆栽展......とイベント満載(3月22日まで。名古屋市農業センター)。3月6日から8日は「マラソンフェスティバル ナゴヤ・愛知2015」(ナゴヤドーム)。「名古屋ウィメンズマラソン」には1万8000人が参加する。そして、8日は大阪で大相撲春場所の初日。元横綱・琴櫻以来、53年ぶりに鳥取県出身の関取、石浦が本名で取る。 春は東京ばかりではない。
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 ☆毎日新聞夕刊にコラム「大きな声では言えないが...」を連載中

[写真]初場所で全勝優勝を決め、インタビューで笑顔を見せる白鵬(1月25日)。「品格がない!」とイチャモンをつける前に...

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