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テレビ探偵
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「問題のあるレストラン」の諸問題

2015年3月15日号

 渋谷のツタヤでDVDを借りて、ブックオフでも冷やかそうとセンター街に入っていくとき、このごろいつもきゃりーぱみゅぱみゅの「もんだいガール」が聞こえてくる。ツタヤあたりがスピーカーで流しているのかもしれないが、センター街の景色になじんでいて悪くない。

 この曲が主題歌に使われている「問題のあるレストラン」、初回からずっと観ているけれど、どうももう一つ評価のポイントが難しい。晴れたり曇ったり、バカ陽気になったかと思うと雪が降る、春先の天候のような感じの構成なのだ。
 確か番宣でワイドショーに出ていた真木よう子が、「コメディーなので、楽しんで観てください」的なことを言っていたはずだが、フタを開けてみると、笑ってすまされないシリアスな場面がけっこう多い。レストランの世界を舞台にしたドラマ、杉本哲太を筆頭に男たちから陰湿なハラスメント行為が女性たちに繰り返される。坂元裕二(脚本)のドラマでは「最高の離婚」の言葉アソビと「Woman」の社会派メッセージをミックスしたような内容といえるが、ブレンドは必ずしもうまくいっていない。どういうつもりで視聴に臨んでいいのか、不安定な気分にさせられる。ま、そういうことまで含めて「問題のある」ってタイトルなのかもしれないが。
 無神経で横暴な男たちに対抗して、女性だけ(一名、安田顕演じるゲイ)のビストロを立ちあげる真木の役柄は、正義感の強い、ちょっとメンドくさいタイプの女。臼田あさ美、二階堂ふみ、松岡茉優、YOUら気鋭の女優たちが演じる、皆どこか心に傷をもった面々が店に集まってくる。レギュラー陣のなかでとりわけ得をしているのは、唯一男に媚(こ)びるコンサバ系のチャラ娘を演じる高畑充希だろう。坂元お得意の"名言"も、とくに彼女のセリフに冴(さ)えたものが多い。
「女の価値は人生いくらおごってもらったかで決まりますから」「野球選手と結婚した女子アナ以外は全員負けですから......」
 古い言葉を使えば、究極のブリッコ調の身振りをしつつ、イライラする娘を熱演している。キャラ的に石原さとみとカブるようなところもあるが、芝居は石原よりも器用だ(器用さが鼻につく人もいるかもしれない)。彼女の一方、東大出のカタブツ女という、あまりハマらない役柄をあてられた二階堂ふみはかわいそうな気がする。
 ところで、ロケ映像好きの僕が気になるのは、真木たちのビストロのあるビル屋上の在(あ)り処(か)。劇中、裏原宿と明かされてはいたが、どの辺なのだろう? 遠くに見える六本木ヒルズらしきビル群、ネットの情報などを拠(よ)り所(どころ)にグーグルマップを使って、それらしきペントハウスのあるビルを探しあてた。ここに細かい番地は記さないが、裏原宿界隈(かいわい)に近い神宮前の町域だ。
 こういうペントハウスというと、僕の世代は代々木駅西口の古ビルにあった「傷だらけの天使」のアジトをふと思い出してしまう。
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 ■人物略歴
 ◇いずみ・あさと
 1956年、東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、テレビ雑誌編集者を経て、フリーのコラムニストに。東京を中心にした街歩き、現代風俗、テレビ番組などを中心に執筆。近著は『昭和マンガ少年』。

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