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今こそ必要な「路地裏の経済学」 "生涯現役"貫いた竹内宏氏逝去

2016年5月29日号

 名著『路地裏の経済学』で一世を風靡(ふうび)した経済評論家の竹内宏氏が4月30日、慢性閉塞(へいそく)性肺疾患のため亡くなった。85歳だった。2012年から出身地の静岡で県立大学グローバル地域センター長を務めており、最後まで"現役エコノミスト"を貫いた。
 竹内氏は1954年に東大経済学部を卒業し、日本長期信用銀行(当時)に入行。一貫して調査畑を歩み、後にやはり経済評論家になる日下公人(くさかきみんど)氏とともに、「調査の長銀」を世に知らしめた。
 筆者が竹内氏の知遇を得たのは、バブルのさなかだった1980年代後半。役員兼調査部長として、大きな折り畳み式のスケジュール表は半年先まで予定が埋まっていた。上海万博(2010年)で日本産業館館長を務めた経済キャスターの秋岡栄子氏が、当時は秘書的な任務を担っていた。
 企業規模を問わず、経営者人脈は豊富。西武の堤義明氏に誘われてスキューバダイビングに挑戦するため、「洗面器に水を張り、息をどれだけ止めていられるか訓練している」、はたまた「小学校の幼なじみが"清水の次郎長"の子孫で、地元で墓を守っている」などの話まで、静岡県人らしく飾らず気さくな性格と語り口が印象に残った。
 埼玉県芸術文化振興財団の理事長・竹内文則氏、文部科学省顧問の竹内佐和子氏ら、多士済々のエコノミストが師と仰いだ。両氏とともに、「三竹内の会」という親睦会も作り、可愛がった。
『路地裏の経済学』は、企業経営者や消費者の生の声を聞き取って経済の方向性を分析、皮膚感覚の分かりやすさからサラリーマンらの圧倒的な支持を集めた。自身もパチンコが趣味で、「パチンコの玉を見ていると、頭が空っぽになっていい」と。パチンコから日本経済を論じるユニークさにあふれていた。
 机上の空論ばかりが幅を利かせる時代にこそ、「路地裏の経済学」が求められているのだが......。残念というほかない。合掌。
(森岡英樹)

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